個人から法人への自動車名義変更

数年前、個人事業から法人成りした際に、事業で使用している車を個人名義のまま使い続けていました。

既に購入から5年以上が経過し、償却期間も過ぎていてローンも完済しているため、経費としてかかっているのはガソリン代や車検整備費、任意保険料などの費用のみでした。

それらの費用は名義人である個人と法人との間で使用賃貸契約を結んでおけば法人の経費として計上出来るので、今の車をそのまま使用し続けるにあたっては現状のままで何も問題無かったのですが、敢えて法人名義に変える事にしました。

利点の有無もさることながら、そもそもどのような手続きが必要かも分からない状態から、自分で調べて分かった事や保険代理店に相談してみて分かった事、そして実際に名義変更をした後に知ることになった事など色々ありましたが、今のところやってみて損は無かったと思います。

まず前提条件として個人名義の車の購入費用は個人の支出となり法人の経費に計上することは出来ません。もしローンで購入して返済中の場合は法人で返済していく形に変える事は出来ません。その場合は残債分を法人から借り入れて一括返済するなどして個人のローンを完済する必要があります。そして同時に個人から法人への売却という形をとる事で名義変更が可能になります。

法人が買い取った車は固定資産となり減価償却費として費用計上出来るので法人税の節税になります。また売買が50万円未満の場合は譲渡税もかかりません。

そして名義も個人から法人に変わることにより、その後に車輌にかかる費用全てを法人の経費として計上する事が出来るようになります。

その際、任意保険の名義変更も必要になりますが、気になるのが等級の引き継ぎです。

実は一番気になったのがこの任意保険の等級引き継ぎについてだったのですが、保険会社によって個人から法人への名義変更では等級引き継ぎは「出来る」「出来ない」「設立して間もない時期に限り可能」など様々な情報がありました。

因みに実際に加入中の大手保険会社のコールセンターに問い合わせてみたところ、そもそも個人から法人への名義変更すら出来ないとの回答でした。

ただ、こういったイレギュラーな案件はコールセンターでは弾かれるとある程度想定していたので、後に代理店(自動車ディーラー)の担当者に念のため確認をしてみたところ、個人事業から同業種での法人成りであれば条件によっては可能という回答が得られました。

※因みに別で所有しているもう一台の別のディーラーの別の保険会社でも確認しましたが、ほぼ同様の内容で可能との回答でした。

その担当者の方もあまりこなしてない案件のようで探り探りだったのですが、やり取りの途中でこんな事を言われました。「1つ注意点として車の買い換えと同時に名義変更をすると等級の引き継ぎは出来ない」のだそうです。

実は現状の使用賃貸契約で問題ないと思っていたので、何れ車を買い換える時に法人の名義に変更すれば良いだろうと当たり前に考えていました。

ところがそれは一番やってはいけない事なのだそうです。

やってはいけないと言うか、その場合は等級の引き継ぎが出来なくなるということのようです。

おそらく「車」「車の名義」「保険の名義」など全てが同時に変わってしまうと、新規の契約と見なされるという事なのでしょう。

要は現在所有している個人名義の車を法人の所有にし、さらに使用者は代表者となるのが条件になります。

使用者が変わるような変更があっては駄目です。明らかに個人の時と使用目的が変わるような場合は等級引き継ぎどうのこうの言っている場合ではないと思いますので、きちんと条件にあった内容で新規の保険に入り直すしかないでしょう。

要は登録上の使用者が変わらない事が重要な条件となるようです。

※調べた中で出てきた「設立間もない時期に限り可能」という文言は今回の代理店とのやり取りでは特に出てくることはありませんでした。

さて、等級引き継ぎも可能とのことで安心も束の間、車の名義変更という面倒な作業をしなくてはなりません。

面倒ではありますが、使用賃貸契約という紙切れ一枚の手抜き的な手続きではなく、これさえすれば正真正銘の法人の所有車となり堂々と経費計上が出来る訳ですから、やらない手はありません。

しかも今回、相談したディーラーの担当者が何から何まで全て代行してくれると言うのでお任せしてしまいました。

あるところでは「自動車ディーラーの担当者に相談したところ名義変更は手間がかかるので、使用賃貸契約を勧められた」などという情報も見受けられました。

確かにこちらの都合でわざわざ手間をかける訳ですし、名義変更には車庫証明の申請など時間のかかる手続きもあり、ディーラーや保険代理店としては無益と思える作業です。これは本当に助かります。

そしてこちらからも印鑑証明など書類引渡しや委任状への押印など出向かなければならないので、何度か連絡を取りつつ数週間にかけての手続きとなりました。

保険会社からは今回のケースに関する審査のための必要書類として、個人事業から同業種での法人成りであることを証明する代理人(税理士、行政書士、司法書士等)の署名を求められたので、当社の場合は司法書士による署名、押印がなされた法人設立確認書なるもの(保険会社から雛型あり)を提出しました。

※司法書士さんの方では慣れた感じで素早く対応してもらえました。

それらを全て担当者に委ね待つこと数日、全ての手続きが完了したとの連絡が入りました。

実はこの手続きを依頼するにあたり、どのくらいの費用がかかるのか敢えて確認してなかったのですが、かかったのは3,000円程度の法定費用だけでした。

代行手数料も取らないんですか?やっぱり何かメリットがあるのでしょうか。思い当たるとすれば個人(法人)情報の収集くらいでしょうか。

そう言えば以前別のディーラーで、アンケートと称して個人情報を抜かれた事を思い出しました。

今のご時世、個人情報を開示しない取引なんてほぼ皆無ですし、企業側も個人情報収集に関しては躍起立っているところがあるので、あまり過敏になっていると話しが進みません。

とは言え、車の名義変更などには実印を使う書類もあるので、念のため重要な書類はコピーは取っておいた方が良いでしょう。

さて、ディーラーは車を売るのが仕事です。車検も間近だったのでこれを期に買い換えを勧めらるかと思いきやそれもなく、とにかく無事に手続きは完了しました。

代理店(自動車ディーラー)担当の方、ありがとうございました。

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